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どうして菌糸ビンに入れると大きくなるの?

一般的にDorcus系のクワガタはオオヒラタケやヒラタケの菌糸ビンとの相性が良いとされています。
特に国産オオクワガタなどの「幼虫が乾燥した立枯れを好む種」は著しい成長が見られます。しかし、なぜ菌床飼育で幼虫が大きく育つのかは、意外と解明されてないのが現状です。実際、オオクワガタの幼虫は自然界では太いクヌギの立ち枯れなどで見つかり、その多くがカワラタケ等の白色腐朽菌によって朽ちた部分から採集されています。この事から国産オオクワガタにはカワラタケが良いと考えられていた時もありました。しかし、カワラタケの菌糸ビンでは弱齢幼虫の死亡率が若干高く、現在ではオオヒラタケ・ヒラタケ菌を使用するのが主流となっています。なぜカワラタケではなく、オオヒラタケやヒラタケが良いのかは謎です。(ちなみにオオヒラタケとヒラタケは近縁種ではありません。)オオヒラタケ・ヒラタケ・カワラタケの共通点といえばどれも白色腐朽菌という事です。これらのきのこ菌の菌糸が木質のセルロースやリグニンを分解し、オオクワガタの幼虫が食べやすい状態にしてくれているのです。日本人の食生活に馴染みの深いシイタケなども白色腐朽菌のきのこですが、シイタケの菌床はまったくオオクワガタの幼虫のエサとして適していません。同じ白色腐朽菌でも合う合わないがり、その理由は解明されておりません。
ただ一つ言える事は、菌糸ビンは人工的なエサです。幼虫のエサとしての状態は自然界での条件よりかなり安定しており、容易に大きく成長させる事が可能となったと言えます。菌糸ビンはエサである添加物を含む培地(オガコ)を白色腐朽菌が支配することにより、本来バクテリアに分解されてしまう培地が安定し、幼虫のエサとして良い状態がある程度維持されていると考えられます。



なぜクヌギがいいの?

自然界ではオオクワガタの幼虫はクヌギの立ち枯れから多く採集されていることから考えても、オオクワガタの幼虫自身がクヌギを好んでいるのは明白です。このことから菌糸ビンの培地としてクヌギが多く使われています。クヌギは樹種の性質上ブナより硬く、劣化(分解)速度が穏やかで、エサとなるオガの状態がブナより長い期間「半生状態」で保たれます。国産オオクワガタの幼虫にとって最良のエサの状態は「半生状態」であり、白色腐朽菌により分解されきって、完全に朽ちてしまったスカスカの状態ではありません。また、栄養価の面から考えてもクヌギはブナより栄養価が高いとされています。しかし、栄養価だけで比べるとクヌギよりサクラやエノキの方が栄養価が高いのです。クヌギ以外の栄養価の高い樹種の菌糸ビンでクヌギより良い結果が出てくる可能性はないとは言い切れません。
ちなみにアンタエウスやヒラタ系の種は国産オオクワガタの幼虫と食性が異なり、分解が進んだエサを好みます。この事から分解速度が早いブナの方が適しているとされています。



なぜ菌糸ビンの水分量は少なめがいいの?

自然界でオオクワガタの幼虫がわりと乾燥した立ち枯れを好む事からも水分量は少ない方が良いと容易に想定できます。この事から一般的に国産オオクワガタの幼虫飼育用に作られた菌床は、食用の菌床と比べ極端に水分量を押さえて製造されています。また、国産オオクワガタの幼虫にとっての最良のエサの状態である半生状態を長く保つには、活発な白色腐朽菌の活動をある程度押さえてコントロールする事も重要です。 白色腐朽菌の活動に最適な水分量に合わせて菌糸ビンを作れば、当然菌糸の活動は活発になり幼虫のエサとなるオガは短期間で分解され、栄養価のないスカスカの状態になってしまうか、有害なバクテリアの影響でオガコが泥状になり、羽化不全等の悪影響をもたらす事も少なくありません。
水分を押さえることにより、菌糸がオガコを分解する活動が穏やかになり、菌床の劣化を遅らせる効果があるのです。



菌糸ビンの交換時期は?

幼虫を飼育する環境温度が飼育者により異なる事や幼虫に個体差があることにより、一概に交換時期は言えません。温度管理された環境であれば一般的には2ヶ月ごとの交換を目安にすれば問題は少ないと思いますが、菌床の状態が良ければ6ヵ月交換しなくても問題ない場合もあります。逆にエサ交換直後に幼虫が菌糸ビン内を動き回り、1週間程でダメになってしまう場合もあります。
最善を尽くすのであれば日数的なことで幼虫のエサ交換をするのではなく、1頭ずつ良く観察し、菌床の状態により交換することが好ましいです。菌糸ビンを外から見て白い皮膜が全体の50%以下であればエサ交換をお薦め致します。



菌糸ビン飼育に適さない種はありますか?

一般的にDorcus系種であればオオヒラタケやヒラタケの菌糸ビン飼育との相性は良いとされています。当方の飼育結果ではニジイロクワガタも菌床飼育で著しい成長が見られ、菌床飼育との相性は良いと思います。しかし、ノコギリクワガタやミヤマクワガタ等の幼虫は菌床飼育ができない訳ではありませんが、大きく育つことはまれで、菌床飼育の効果は期待できません。ノコギリクワガタ系・ミヤマクワガタ系種は菌床飼育との相性は良くなく、発酵マットを使用したマット飼育が適していると思われます。
また、オウゴンオニクワガタやタランドスツヤクワガタなどはオオヒラタケやヒラタケの菌糸ビンでは死亡率が高く、一般にはカワラタケの菌床飼育との相性が良いとされています。



大きく育てる方法を教えて下さい。

種親は大型血統を選択する。
種親はできるだけ大きな個体を使用した方が圧倒的に有利だと言われております。大型血統というものは間違いなく存在し、体格も遺伝すると言うのが通説です。メスの体長が大きければそれなりに大きな卵を産んでくれますが、小さなメスは小さな卵しか産んでくれません。遺伝的な事を除いて考えてもメスの大きさは直接卵の大きさに関係しますので、特にメスは大きな個体の方が有利だと言えます。
振動や光・音などによるストレスを与えない。
期待を込めた個体ほど手に取って観察したくなってしまいますが、それが幼虫にとってはストレスになってしまうと言われております。観察は最低限に押さえ、極力さわらないように我慢して下さい。また、菌糸ビンに黒い筒などを被せ光を遮断することにより、平均体長が大きくなるようです。菌糸ビンは暗く静かな場所で飼育して下さい。
実績のある菌糸ビンを使用する。
今や菌糸ビンのレベルはどのメーカーの物でも大変完成度の高いものになっていますが、実績は無いより有った方が安心してご利用頂けると思います。他の虫仲間の意見などを参考に実績があり信頼のおけるメーカーの菌糸ビンを御選択下さい。また、一度使い始めた菌糸ビンの銘柄はできるだけ変えない方が無難です。他の銘柄との成分が極端に異なると幼虫が潜らない、もしくは暴れるなどのドラブルが発生するかも知れません。それを回避するためにもエサ交換は同じ銘柄の菌糸ビンをお薦め致します。
終齢期は大きな容器で飼育する。
弱齢幼虫は体が小さいため環境をコントロールする能力も小さく、大きな容器での飼育は無意味かかも知れませんが、幼虫が大きくなり終令幼虫になったら大きな容器(大きな菌糸ビン)での飼育は絶対的に有利です。狭い環境での飼育はストレスにもなり、成長を阻害しているようです。幼虫が大きくなったら菌糸ビンも容量の大きなものに変えて下さい。
温度管理をする。
夏場の猛暑で30度を超すことはしばしばありますが、高温が何日も続けば短期間で幼虫の加齢が進んでしまい、大型個体作出の夢はこの時点で絶望的です。また、冬場は幼虫が越冬体勢に入りエサをまったく食べません。エサを食べなければ成長はしません。常温飼育では当然起ることですが、大型個体を作出するにはとても不利になってしまいます。夏は涼しく冬は暖かくし、極端な温度変化を避けるなど、幼虫に取って快適な温度管理は必須条件です。本気で大型個体作出を目指すなら、温室の導入を考えなければなりません。






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